山師ジャイ

「令和の世阿弥に、俺はなる!」と啖呵を切ったはいいものの、やはり現実は小説のようにはいかない。

まず船を出た瞬間、空気が良すぎて、都会というか人の毒に侵された傷は癒えた。

その日の夜に、ここは宮沢賢治の世界かと思うほどの銀河的星空を眺めて、流刑してきたなどという意識は(いつも通り)吹っ飛んだ。

まだ最後の砦というより、最後の楽園だった。

この島でもマスクや生活必需品は店頭からは消えているが、今のところ特に気にすることはなく、ノーマスク・エンジャイライフを満喫している。

日本が“一億総自粛”といったムードの中、正直な話、毎日出掛けて行っては友人と土地の料理を愉しみ、温泉に浸かりながら馬鹿話に花を咲かせている。素晴らしく平和だ。

これではとてもじゃないが、際どいところで踊り狂っていたであろう世阿弥とは言えないし、鎌倉幕府や他の宗教を批判して流された日蓮上人でもない。無論、戦争をして負けてきた貴族、順徳天皇でもない。

ジャイは山師だった。

これと思ったことに人生ごと賭け続けているギャンブラーだ。

徳川幕府が金脈を掘り続けたように、ジャイも佐渡にある宝を探し続けている。

しかし、それはいわゆる鉱物としての金でも銀でもない。

虹だ。強いて言うなら虹を求めている。

佐渡には全てがある。海も山も川も、生物も、見上げた空に至るまで、全てが美しい。

これが宝でなくてなんであろう。

格好つけていうと、佐渡から別の土地、そこに住む人まで虹の架け橋をかけることを理想としている。

先に書いたように、時の権力争いや宗教批判などに敗れた流刑者が、都から続々と人が流れてきた。しかし、現代は逆である。佐渡から人も物も流れていく時代だ。

今、京都と佐渡に薄く一本の虹がかかろうとしている。勝手な縁を感じている。これを確かなものとしたい。が、そんな夢を見ている最中、世は世界的恐慌である。

乱世に備え続けてきたが、いよいよ乱世本番だ。

ジャイも緊急態勢を整えていく。

まず、立ち寄りづらくなった実家への腹いせとして、住民票を佐渡に移した。

およそ五年以上に渡りセルフ流刑してきた佐渡ヶ島。

これで晴れてジャイも島人である。おかげでフェリー代が激安になった。これからは今まで全く選択肢になかったジェットフォイルという、フェリーより2.5倍の速さで海上移動できる手段が半額で使える。ヤバくなったら島に立て籠もろう(籠城の計だ)。

次に、ISレボリューション(一次産業革命)。

敢えて、レボリューションと名付けたのは、TMレボリューションさんが好きだからだ。

いま、渋谷のスクランブル交差点辺りで「こっごーえそーっな、季節ーに君は、愛をどーこーゆーっの!?そんなんどーだっていーからの“俺”のせいにして温めあーおおー」とぶちかますような力が求められていると思う。

みんな、絶対笑わなあかん。ジャイは未だに超元気だから、そういうところを攻めていきたい(元気がなくてもやるが)。闘うというより、負けない。まずは己に克つ。

コホン。話が逸れた。

心が先にもっていかれそうになるので、精神論はめちゃくちゃ大事だよ。

明朗な精神あっての具体的な策を立てよう。

ということで、いま佐渡ヶ島で友人の今山さんが、稲の種付けから苗作りを行なっている。

昨年は例年の十倍(!?)の、約1トン以上の新米をデリバリーした。

結果的に、佐渡から鹿児島の種子島まで【米の道(マイロード)】は繋がれ、黄金に輝く道ができた。

今年もマイロードを通って、お米を届けていきたい気持ちがある。よって、生産者の人との都合もあるので、しっかり予約をとっていこうと思う(またまとめてSNSに出す予定)。

佐渡の棚田で作っている米なので、ジャイに自信があろうがなかろうが、物は良い。

あと、出来ればトビウオの焼きあごだしや乾燥ワカメなどの乾物、野菜や海鮮までできたらいいなと願っている。この辺りは、その時々の流れもあるので、まだなんとも言えないが、まず米は食べてみて欲しいと思う。

いま都会などでの食糧の買い占めというか、軽く飢饉みたいなことが起こり始めているみたいだ。最近のジャパンは結構輸入に頼っていると思うので、都心に近づけば近づくほど物はどんどんなくなるだろう。というか、仕事もなくなりつつあるから、当然盗みもあるだろう。

ジャイが手を焼いていた中島は、いよいよ追い詰められて、いま新橋のサラリーマン相手に靴磨きをしているらしい。でも、この期に及んで自意識が爆発して、話しかけるのにも一苦労のようだ(そんな話を聞くと、追い込まれているようで、やっぱこいつ追い込まれてないなとは思う)。

中島のように首の座らない若者は、都会で無理ならさっさと自己破産して、佐渡に強制流刑、強制労働をさせながら、カードも現金も持たせない軟禁状態で、土と友達になって作物を育ててもらいたいと思う。結果的に、自意識爆発のピヨピヨ状態から、捨て猫みたいな甘えもなく、人間本来の表情を取り戻す(はず)。

いや、中島のことはいい。

そう、飢饉に際しての手段として、『みんな戦時中は芋食ってた理論』を採用して、最悪、土に芋の種でも植えたらいいと思った。

しかし、佐渡だとやっぱりハードル高いなという方に朗報です。

現在先輩のMAYUCHAPAWONICAさんが、千葉県野田市で自然栽培によるコミュニティを創設している。

実家が農家なのに、全く農業については触れていなかった彼女が、それまで絵などを描いて芸術表現をしてきた者らしく、“ヴィジュアル農家”として、単なる農業・農家としてではなく、革新的な取り組みとして、自らの身を実験台にしながら遊んでいる。

ぜひ皆さんにもチェックしていただきたい。

面白いのは、実際にみんなで畑や田んぼをやるのがメインではなく、遠い人でも楽しめるように、農業をバーチャルで楽しむことが第一とされている。

なので、いわゆる“ザ・農業”ではなく、自分も一から学んで遊びながら失敗も成功もある入り口でISレボリューションしたい方は、ここに駆け込んでくだされ。

我々も遠くない未来に連携できる(きっと)。

おっと、農業だけでだいぶ書いてしまった。

後は、人だろう。SNSは媒体であって、目的そのものではない。

貨幣価値もなくなって、仕事も家もなくなったら、やっぱり人、関係性が生命線だ。

前にも書いたが、これからはちょっと具合が悪いからと言って、軽々しく「熱が」とか言えなくなってくる。

ジャイもライブ前は頭痛がしていたが、普段の痩せ我慢とは違う感じで簡単には言えなかった。

だから、いまちょっと調子悪いなって人は、ジャイとか話してもどうってことはない人に連絡して欲しいなと思う。

別に誰かを救いたいとか、そういう慈善的なあれではないが、自分自身がいま移動しまくっていたりライブを敢行して後ろ指刺されまくる渦中にあるから、励まし合っていけたらなという気持ちだ。

濃厚接触が無理でも、まず生存確認っていうのはいいよね。

「生きていてくれるだけで嬉しい」って言い合えるのは素敵だ。

ジャイはそこに虹を見る。

今こそ、虹を思い描こう。

虹を見て、アガらない者はいない。

よっしゃ、小さな架け橋をつくろう。


保科 亮太

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家族でも友達でも、職場でもない関係ってなんだろう。 “何かあったらあの人がいる”。 関係性そのものが セーフティネットになる時代がもうすぐそこ。

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